新型コロナの影に隠れて、東アフリカで大量発生したサバクトビバッタがアフリカ北東部や中東、インドに猛威を奮っています。
一時期は数が少なくなったと噂されていたサバクトビバッタですが、国際連合食糧農業機関(FAO)の情報では現実は依然としてかなりの厳しい状況とのこと。
この記事を見ている人の中には「中国までサバクトビバッタが侵入して日本までくるのでは!?」なんて心配している人も多いかもしれません。
そこで今回はサバクトビバッタの現在地や今後の移動経路などを調べていきます!
【サバクトビバッタ】最新の現在地はどこ?
サバクトビバッタの現在地は、国際連合食糧農業機関(FAO)のホームページを見ると確認できます。
FAOのホームページで確認できるサバクトビバッタの情報は、2020年5月27日付のもの。
で、最新のサバクトビバッタの現在地は大まかに、
・ケニア、ソマリア、エチオピアなどを中心とした東アフリカ
・サウジアラビアやイラン、イラク、イエメンなどの中近東
・インドの北西部とインドのお隣のパキスタン
となっています。(2020年6月2日時点)
FAOのホームページには、サバクトビバッタの現在地が示されるデータエクスプローラがありましたので、それぞれの状況を画像で見ていきましょう。
ちなみに画像には、サバクトビバッタの居場所を記す丸い点がついているのですが、
赤色→成虫の群れ
緑→少数または孤独な羽根なしの幼虫
グレー(白?)→集団の羽根なしの幼虫
となっています。
ではまずは、今回の蝗害の発生源となってしまった東アフリカ周辺から。
全体的にサバクトビバッタの群れがいるのがわかりますね・・・^^;
とくにケニアやウガンダにサバクトビバッタの成虫集団がいるのが分かります。
続いては、サウジアラビアやイラン、イラク、イエメンなどの中近東。
こちらも全体的にサバクトビバッタが繁殖しているのが分かります。
成虫の集団はイラクやイエメンに集中している感じですね。
成虫の集団は東アフリカほどではありませんが、幼虫の数がかなり多いようです。
駆除が追いつかなければ、これらの幼虫もいずれ成虫として増殖、拡大、分散をしていく可能性があるかもしれません。
最後は中国と隣接するインドとその隣のパキスタンです。
インドの北西部がエグいことになっていますね・・・。
ちょっと見づらいですが、パキスタンにも成虫の集団や幼虫がいるのが確認できます。
ちなみに、2020年5月4日のリスクマップでは、インドにサバクトビバッタ存在は確認されていませんでした。
もしかすると、1ヶ月くらいの間に餌を求めて移動したのかもしれません。(下の画像が5月4日のリスクマップ)
中国や日本にサバクトビバッタは侵入するのか?
インドまでサバクトビバッタが来ているのなら、隣接する中国にも侵入し、いずれに日本にも来るのでは?と思ってしまいますよね。
結論から言いますと、サバクトビバッタが中国に侵入する確率はほぼないようです。
理由は「広大なヒマラヤ山脈がサバクトビバッタの行く手を阻んでいるから」です。
サバクトビバッタは気温が低くなると飛行できなくなるので、高いヒマラヤ山脈を超えることはまず不可能。
その証拠に中国ではサバクトビバッタの蝗害は歴史上1度もありませんし、現在も中国に侵入している情報はありません。
突発的な偏西風などで山脈を超える可能性はゼロではないようですが、普通に考えて中国にサバクトビバッタが侵入するのはありえないようです。
中国に入れないのであれば、サバクトビバッタが日本に来ることもまず考えられません。
「海を渡る可能性もあるのでは?」という声もあるようですが、過去のサバクトビバッタの動きから見てそれも現実的ではないようです。
サバクトビバッタの日本への侵入については別記事にまとめましたので、詳しいことは以下の記事を参考にしてみてください。
関連:サバクトビバッタが日本に来る?海を渡る可能性と侵入経路・飛来について
【サバクトビバッタ】今後の移動経路の位置も
東アフリカからインドまで繁殖と拡散をしてきたサバクトビバッタですが、上述したように中国に侵入することはできません。
ではインドまで来たサバクトビバッタは、今後どこに移動するのか気になりますよね?
実は長年サバクトビバッタを追い続けているFAOは、サバクトビバッタの今後の移動経路の位置も予想してホームページに記していました。
というわけで、早速FAOが示す今後のサバクトビバッタの移動経路の画像を見てみましょう!
まずは、被害が拡大しているインドやパキスタン付近のサバクトビバッタの動きから。
インド北西部やパキスタン付近にいる成虫や幼虫が5月~6月にかけて、インド北東部まで押し寄せる予想のようです^^;
で、北東部まで進出したサバクトビバッタはその後風の変化によって西に戻っていくとのこと。
その後は赤色の点線で囲んだあたりで夏の繁殖を迎えるんでは?というのがFAOの今後の見方のようです。
• インド。西からラジャスタンに到着した春の育った未成熟な大人のグループと群れは、州の東部を東に移動し、マディヤプラデーシュ州とマハラシュトラ州の中央州に移動し続けました。5月26日の時点で、少なくとも1つの群れがボパールの北東に達していた。これらの動きの多くは、ベンガル湾のサイクロンアンファンからの強い西風と関連していた。制御操作が進行中です。7月までラジャスタンでは侵略の連続的な波がいくつか予想され、インド北部をビハールとオリッサまで東向きに急増し、その後西向きに動き、モンスーンに伴う風の変化でラジャスタンに戻る。これらの動きは、群れが繁殖し始め、移動性が低下すると停止します。群れは南インドに到達する可能性が低い、ネパール、バングラデシュ。
引用:FAOホームページ
中国へは入れないにしろインド北部に甚大な被害を与えそうですね・・・。
次は東アフリカ付近のサバクトビバッタの今後の移動経路を見てみましょう。
現在東アフリカのサバクトビバッタは、4月~6月に繁殖している個体や集団がインド、パキスタン方面に移動するようです。
先程の「赤い点線の部分に集結するのでは?」ということのようですね。
で、そのほかにもいよいよ西アフリカの方まで移動して、アフリカの大部分に被害を及ぼすのではないかと予想しているようです。
東アフリカは、
現在の状況は、東アフリカでは非常に憂慮すべきままケニア、エチオピア、およびソマリアは、食料安全保障や生活に前例のない脅威に直面しています。現在の繁殖による新しい群れは、6月中旬以降に発生し、収穫の開始と同時に発生します。その後、群れがインドパキスタン国境の両側に沿って夏の繁殖地に移動するだけでなく、スーダンやおそらく西アフリカに移動するリスクがあります。引用:FAOホームページ
FAOはサバクトビバッタが西アフリカまで行く可能性は少ないとしつつも、繁殖具合によっては西アフリカも警戒が必要としています。
ちなみに、西アフリカにも砂漠があり元々サバクトビバッタはいるようですね。(2003~2005年には西アフリカでサバクトビバッタの蝗害があったとのこと)
一度西アフリカまで移動してしまったら、環境の相性も手伝ってサバクトビバッタがさらに勢いを増す可能性は少なくなさそうです。
【サバクトビバッタ】最新状況を更新…2020年7月27日追記
大繁殖を続けてきたサバクトビバッタですが、どうやら以前よりも数が減ってきているようです。
もちろんまだまだ油断はできませんが、FAOのデータを見ると5月のときよりもかなりサバクトビバッタが少なくなったようです。
・東アフリカ周辺
・サウジアラビアやイラン、イラク、イエメンなどの中近東
・インド、パキスタン周辺
どうでしょう?
5月に書いた上のデータに比べるとだいぶ少なくなっている印象です。
ちなみに、黄色い点の部分はコントロールできている部分を示しているとのこと。
折れ線グラフを見ても、7月1日をピークに一気に数が少なくなっています。
各国の協力や寄付もあり、当初の予想よりも繁殖が抑えられているようですね。
ベルギー、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、韓国、ロシア連邦、サウジアラビア、スウェーデン、スイス、アラブ首長国連邦、英国の政府からも資金提供を受けています。
引用:FAOホームページ
ただ、今後も繁殖リスクが高いことには変わらないのと、食料に対しての危機はあるとのこと。
南米にも別のバッタが発生し始めているとの情報も出ていますし、本当に世界的な食料危機のリスクも高まってくるかもしれませんね^^;
今年は新型コロナの報道に隠れて、世界中でバッタが暗躍する変な年ですね。
【サバクトビバッタ】最新の居場所と今後の動きについてのまとめ
2020年5月27日時点のFAOのデータでは、東アフリカ、中近東、インド北西部、パキスタンなどがサバクトビバッタの居場所になっているようです。
東アフリカで大繁殖してから、相当勢力を拡大させているようでうですね^^;
今後の動きとしては、
インド・パキスタンのサバクトビバッタはインドの北部を東西に往復し、さらに繁殖。
東アフリカのサバクトビバッタはインド・パキスタン付近へ移動し、一部は西アフリカまで行くのでは?と予想されています。
あくまで予想なのでこの先さらに勢力を伸ばすのか、落ち着くのかがわかりませんね~。
食用として活用出来ればまだいいのですが、現実的にそれは難しいようです。
日本には来ないとはいえ、地球規模で考えたら相当ヤバいことですよね。
蝗害での食糧不足など、日本人にも出来ることがあるといいのですが・・・。
そういえば漫画のテラフォーマーズにもサバクトビバッタが出てきますが、漫画やアニメのように彼らを有効活用することは現実では厳しいですね^^;
関連:サバクトビバッタは食用で食べるのは無理?食べられない理由を調査!
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